2008年9月17日水曜日

慶応高校 植山和久

『自分は常に思想する人間だった』

  自分は常に思索をする人間だった。人間の想像力に尊さを感じ、人間の思索の力に敬虔心すら持っていた。特に、如何なる政治体制、経済体制が人間精神を感化させ、公の発展を促すのかという疑問を抱き続け、自らに問うていた。

  かの古の賢人、プラトンは哲人王による哲人政治、つまり唯一人の神のような賢者が公の頂点に立ち人民を支配すべきであるという考えを説いたが、自分自身その意見に同調していた。

  だが実社会を深く観察し、その本質を洞察してみると、「哲人政治」なるものは机上の空論に過ぎないのではないかという疑問も生成してきた。そして自らが現実の政治の世界に足を踏み入れ、現場を実証しない限りはその真実を探し出すことはできないという結論に至り、このインターンに参加した。

  そして地方政治の実態、政治家の生の生き方、政治権力と民間との結び、特に本橋先生の政治、国家、地方に対する熱い重いを知り、「政治」というこの重苦しいベールを被った抽象的な言葉を、生肌で感ずるに至った。本橋先生が、様々な行事に参加させてくれる機会を与えてくださったおかげで、政治と言う概念が強く顕現化していた。その中でも特に豊島区という一地域を発展させていく事の難しさとその重大性の強く感じた。

  数学の世界にフラクタル幾何という概念がある。どんなに微小な部分をとっても全体に相似している図形の意であり、その図形には非常な美がある。たとえば小さな正三角形が沢山集まって一つの多いな正三角形が出来上がっている図形がそれである。一つ一つの小さな正三角形がそれぞれ美しくなければ、決して大きな三角形は美しくはならない。この小さな三角形と大きな三角形との関係が、市民と地域、地域と国家の関係と正に一致しているのだということを心の底から感じた。人民一人一人の力なくして地域は成り立たず、地域一つ一つが発展しなければ国家は腐敗すると言う事を強く感じ、自分がインターン以前に抱いていた「哲人政治」という浅はかな考えは改めさせられた。

  哲人のみで国家が成り立つ事はありえない。人民一人一人の不動の努力こそ、地域の力こそ、国家そして世界を変えるのだ。本来の政治のあるべき姿に、現実の力によって気づかされた。

  自分は未熟だあ、たかが16年しか生きていない未熟な人間にすぎないが、それでも歴とした国家の一成員である。この強い自覚こそが、将来、世界で活躍していく際の基盤となるのだと固く信じている。そして、この新たな考えを抱くに至った機会を与えてくれた本橋先生ならびにI-CASに深く感謝したい。

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